注目のバイオマス発電。いまのうちに知っておきたい「バイオマス」の基礎の基礎
2017/03/17
- 再生可能エネルギーのひとつとして注目される「バイオマス発電」
こんにちは。株式会社フィット「投資の窓口」編集部です。
最近、ちょくちょく「バイオマス」という言葉を耳にしませんか?
「バイオマス発電」は、再生可能エネルギーのひとつとして注目が集まっている技術です。
日本では、平成14年(2002年)に「バイオマス・ニッポン総合戦略」が閣議決定され、バイオマス発電の導入が各地で積極的に始まりました。(参考:農林水産省 バイオマスニッポン)
- そもそも「バイオマス」とは何なのか?
そもそも「バイオマス」とはどういった意味なのでしょうか?
農林水産省のウェブページでは、
家畜排せつ物や生ゴミ、木くずなどの動植物から生まれた再生可能な有機性資源のことをバイオマスといいます。
と説明しています。
もう少し詳しくみていきましょう。
Weblio英和辞典によると、
biomass = エネルギー源として利用される生物資源
と訳されています。
bioは「生物の」を意味し、massは「大きなかたまり・集団」のこと。
マスメディアやマスコミのmassと聞けば、馴染みがありますよね。
生物の大きなかたまり、つまり生命体の総体を「バイオマス」と言っているのです。
地球上には、もともと、太陽の光を生命の源として自然界を形作り、永続的に循環するエネルギーの仕組みがあります。
「植物」が太陽光エネルギーで光合成をして有機物を作り、「動物」がその有機物を食べて生命活動を行い、「微生物」が生命を終えた動植物を分解するという、三者の補完し合う働きがあって成り立つ、完璧な仕組みです。
こうした、植物、動物、微生物のような自然界を構成する生命体の総体が「バイオマス」なのです。
バイオマスエネルギーの源は、元を辿ると植物が取り込んだ太陽の光。
これを資源として利用しようという取り組みですから、期待が高まるのもよくわかりますね。
- バイオマスの利用にはどんな方法があるの?
エネルギーとしてバイオマスを利用するには、3つの代表的な方法があります。
1. 発電
燃やして蒸気で発電機を動かす2. 燃料化
アルコール発酵やメタン発酵によって使いやすい燃料の形にする3. 石油類似成分の抽出
ユーカリなど発熱量の高い炭化水素を多く含む植物から成分を取り出すほかにも、家畜糞尿や生ゴミ、汚水汚泥の有機物などからバイオガス(メタンガス)を発生させて利用する方法があります。メタンガスは可燃性ガスのひとつで、天然ガスの成分でもあり、都市ガスなどにも含まれているもの。バイオガスは、すでに実用化もされています。
- バイオマスは再生可能でクリーンなエネルギー資源
バイオマスを資源として見たとき、もっとも大きな特徴は、再生が可能でクリーンであることです。
資源としてのバイオマスの供給源は、森林からは樹木や落ち葉、オガクズなどがあり、農業では発生するモミガラや野菜クズ、そして糞尿などの有機物など、数限りなくあり、枯渇することもないでしょう。
今後、石油や石炭などの枯渇性の資源の代わりに使われることが期待され、バイオマスの普及に向けて、より効率のよい技術の開発が進められています。
- バイオマス発電所が全国に広がり始めている
バイオマス資源のうち、木質のバイオマスを利用する、「木質バイオマス発電所」が全国各地で運転を始めています。
木質バイオマス発電所は、森林で発生する間伐材や製材工場の端材などの廃材を燃料として、燃やして発電をしています。
二酸化炭素(CO2)排出削減が大きな課題となっている中で、木材を燃やしてしまって大丈夫なの?と思われるかもしれませんね。
木質バイオマス発電所は、燃料が違うだけで火力発電の一種であることは事実です。
それでもバイオマス発電がクリーンエネルギーだと言える理由のひとつに「カーボンニュートラル」という考え方があります。
カーボンニュートラルとは、バイオ燃料を燃焼させても二酸化炭素の総量は変わらないという考えです。
植物を燃やした時に発生する二酸化炭素は、元々の植物が大気中から取り込んだ二酸化炭素と同量だから、二酸化炭素を増やすことにはならないとされています。
二酸化炭素を減らしはしないけど、増やすこともしない、というのがカーボンニュートラルという言葉の意味なのです。
バイオマス発電所は、今後もますます増えていくことが予想されています。
それに伴い、林業の再興や地方の活性化といった効果も期待されています。
ここへ来て、ぐっと広がりを見せているバイオマス発電によって、今後、日本のエネルギー事情も大きく変わっていくことになるかもしれませんね。
(参考:『図解でよくわかる発酵のきほん: 発酵のしくみと微生物の種類から、食品・製薬・環境テクノロジーまで』誠文堂新光社)
文/株式会社フィット「投資の窓口」編集部
2017/03/17