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~ウクライナ問題を考える~想定外の危機!対岸の火事ではないウクライナ侵攻②

2022/06/20

対岸の火事ではないウクライナ侵攻②

世界の流れは一段と早まり、私たちを取り巻く経済・金融・政治・軍事環境は激しく変動しています。

そして、ウクライナ問題は、対岸の火事ではないということを書きました。軍事的には、危機レベルは日本とウクライナでは異なりますが、経済的には、日本にも様々な影響が出はじめており、事態が深刻化する可能性があるという意味です。想定外のことが起こり、思わぬリスクが顕在化する可能性は十分にあります。その一つが、円高です。

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ロシアによるウクライナ侵攻を受けて、ドル円為替は、2月24日に、「安全への逃避」を理由に、一時1ドル=125円を付けました。その後、3月に入るとは今年1月から2月にかけての取引レンジだった115±1円の狭いボックス圏を上に抜け122123円台にのせました。

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背景には、米連邦準備理事会(FRB)が3月の公開市場委員会(FOMC)で0.25%の利上げを実施し、金融引き締め姿勢を鮮明にしたことに加えて、高い水準にあるインフレ率の抑制を目的に、今後も大幅な金融引き締め政策を実施するとの観測が広がったためです。

米ドル金利が一段と上昇したことから、主要通貨と米ドルの金利差が拡大し、為替相場でも米ドルは主要通貨に対して一段と上昇しました。これが、ドル円でもドル買いを優勢にし、ドル円相場も2015年につけたドルの高値12586銭の節目も越えて上昇しました。

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日本経済への影響

これまで、日本円は世界経済が混乱した際、あるいは、そうなると考えられるイベントが発生した際に、安全を求める資金の逃避先となってきました。理由は、以下の点が挙げられてきました。

世界経済の混乱時には、

しかし、現在は状況が以下のように変化しています。

①については、世界的なコストプッシュインフレにより、全ての通貨に金利上昇圧力が働いています。世界中の金利上昇圧力の下では、日本円の金利も例外ではなく、10年日本国債の利回りも一時は上昇して、0.25%水準まで上昇する場面もありましたが、日銀は10年日本国債を無制限に買う指し値オペを実施して長期金利の上昇を0.25%で抑え込む姿勢を明確にしました。

このため、日米金利差は拡大するとの観測が強まりました。

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②の事象も今回の新型コロナウイルスの世界的な感染拡大による経済危機からの回復局面では、危機=デフレーションではありません。

むしろ一方的に商品価格は上昇するインフレーションへの圧力が働いています。加えて、ウクライナ侵攻の影響で、日本の輸入依存度が高い資源価格が軒並み高騰しています。自給率の低い日本が不可欠な物品は多く、それらの価格上昇は、日本円の下落による更なる輸入インフレを通じて、日本経済の負担となり、日本の成長に足かせとなることが懸念されます。

③は近時の傾向としては収支が悪化しています。貿易黒字は先日発表された今年 3月の収支も赤字でした。これで8カ月連続の赤字です。輸入物価の高騰は、貿易収支の赤字幅を膨らませることになるでしょう。つまり、前述の日本円を評価する要素は、変質してしまっているのです。従って、円高を支えてきたロジックも働かず、急激なドル高の方向に動き始めたのです。

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この記事の執筆者
長谷川 建一氏
国際金融ストラテジスト<在香港>

シティバンクグループ日本及びニューヨーク本店にて資金証券部門の要職を歴任後、シティバンク日本のリテール部門やプライベートバンク部門で活躍。 2004年末に東京三菱銀行(現MUFG銀行)に
移籍。リテール部門でマーケティング責任者、2009年からは国際部門に異動し、アジアでの新規事業戦略として香港でのウエルスマネージメント事業を2010年に立ち上げた。2015年には香港でNippon Wealth Limitedを創業、香港金融管理局からRestricted Bank Licence を取得し、一から銀行を創り上げた。

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