コロナ禍で最も重要な対策!テナントリテンション(入居者保持)とは
2020/10/27
- テナントリテンションとは
新型コロナウイルス流行の影響により、今後退去が増え、入居が減る傾向があると言われています。この予測の中で、最も重要なことは、今の入居者をいかに退去させず、長く快適に住んで頂くかだと思います。今のうちに、出来る事から対応して頂ければ幸いです。
そんな中、アパート・マンションの物件価値を上げたり、入居者向けサービス内容を増やす事で、より入居状態を維持していこうとする「テナントリテンション」が見直されています。オーナー様にとって、テナントリテンションは、昨今の人口減少社会、及びコロナ禍における賃貸経営において欠かせない考え方であります。
- 1.テナントリテンションの重要性
テナントリテンションとは、入居者にできるだけ長く快適に入居してもらう全ての取り組みのことです。テナントは「入居者・借主」、リテンションは「維持、保持」といった意味になります。ビジネス世界では、新規顧客を開拓するには広告宣伝費や人件費等のコストがかかり、商品を買ってもらうまでの費用がとても大きいです。それに対して、既存顧客は、自社の商品やサービスの良さをある程度知っているため、費用をかけずに商品・サービスを購入してもらうことができます。費用対効果で考えれば、既存顧客の方が圧倒的に効率が良いため、既存顧客を大切にすることが経営において重視されています。このような「既存顧客を第一に考える」という考え方を、賃貸経営に置き換えると、テナントリテンションになります。
- 2.テナントリテンションにより、物件価値や家賃の維持ができる
①空室での損失が無い
入居者に長く住んでもらうと、空室時の損失を負わなくても大丈夫です。退去が発生すると、空室の期間は、賃料収入が得られず、損失になります。空室損失が少ない物件ほど収入は多くなりますので、より長く住み続けてくれる入居者様は、収益に大きく貢献してくれます。
②入居募集費用が無い
長く住み続けることは、入居者の入れ替えがなくなることです。よって入居者の募集費用が掛かりません。入居者募集費用は、不動産仲介会社に支払う、仲介手数料や広告宣伝費の費用です。また、フリーレントで入居者に契約してもらう場合には、フリーレント期間の損失も入居者募集費用の一種と考えられます。入居者の入れ替えがなければ、入居者募集費用の支出を抑えることができ、収益性が高くなるのです。
③原状回復費用が無い
入居者の入れ替えがなければ、クロス・床の張替、クリーニングなどの支出がかかりません。原状回復の中で、経年劣化や自然損耗についてはオーナー様が費用負担して修繕すべき項目になっています。原状回復費は、退去が発生したタイミングで行いますので、退去がなければ工事をしなくて済むことになります。長く入居してもらうことは、原状回復費用などの修繕費用を抑えることにつながるのです。
④家賃を高く維持
賃貸住宅は、新築当初からの入居者の賃料が一番高くなっています。空室が増えると、家賃を下げて募集するようになるため、新しい入居者ほど家賃が、低くなる傾向にあります。古い賃貸住宅は、家賃がバラバラになっていきますが、高い家賃を払っているのは、長く住んでいる入居者であることが多いです。入居者を入れ替えるたびに家賃が下がるような物件になるのであれば、入居者により長く住んでもらった方が良いです。
- 3.テナントリテンションの具体例
テナントリテンションは、長く入居してくれる重要顧客である入居者を特に大切にする活動ですので、長く住んでいる入居者に対しては、より濃いサービスを行っていくのが効果的です。
物件の空室が発生すると、温水洗浄便座や、エアコンを新しいものに取り換える事がよくあります。しかし、家賃を下げて募集するような場合、新しい設備をわざわざ安い家賃の入居者に用意することは費用対効果が低いと考えます。そこで、重要顧客である長期入居者の、部屋の設備交換を提案する事をお勧めします。長く住んでいる入居者は、優先的に設備を入れ替えてくれたことに満足感があり、より長く住み続けようとするきっかけになっていきます。新しい設備を長期入居者にプレゼントするのは、比較的効果の高いテナントリテンション策になります。また、2年、4年、6年と、更新し続けてもらえる入居者には、設備以外にも、クリーニングサービス、必要な設備1点プレゼント、さらには商品券・旅行券などのサービスを行う事も効果的だと思います。より長く住んでもらえる入居者程、サービス内容を濃くしていく事をお勧めします。
▼『フィット賃貸経営通信』10月号より
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2020/10/27