投資物件購入に大きく影響する金融機関の“審査基準”とは
2018/09/18
- “審査基準”のポイント
ご存知の通り、金融庁は金融機関に対し不動産向け融資のリスクを点検する旨が示され、事業性を見極めた適切な融資を行うよう、地方銀行などの金融機関に通告がなされました。そして、全国各地で金融機関による審査基準がますます厳しくなっています。とは言っても、金融機関は事業用のローンを取りやめたわけではありません。
今回は、全国の投資物件販売を積極的に行う不動産会社さんが、日々、金融機関から融資を引き出すために行っている取り組みから、昨今の“審査基準”のポイントをまとめました。
- 金融機関の融資審査のロジックを把握する
金融機関では、融資審査する際の計算式をもっています。一般的な基準額や%を参考に表しました。大きなポイントは3つあり、返済比率、担保評価、そして年収倍率になります。
①返済比率 = 年間返済額÷満室想定賃料 ⇒ 一般的には返済比率の融資可能上限60%~70%
返済比率から、物件購入に必要な“投入自己資金”がわかる!融資期間(新築木造アパートの場合)、金利目安、融資可能返済比率上限になる。年間返済額が満室想定賃料の「融資可能返済比率上限」。倍になる金額が融資可能金額の上限になります。
②担保評価(積算評価)
A)=(路線価×掛け率D×土地面積+再調達原価×建築面積)×掛け率E
B)=(固定資産税評価額×掛け率F+再調達原価×建築面積)×掛け率E
C)=売買価格×掛け率G
⇒一般的には 掛け率 D 120% 掛け率 E 60%~80% 掛け率 F 1.45 掛け率 G 60%~80%担保評価から、物件購入に必要な“見合い自己資金”がわかります。物件価格と担保評価の差額が、持っていてほしい自己資金の金額になります。
③年収倍率 = 年収の何倍が融資上限か ⇒ 一般的には10倍~15倍です。
年収倍率は、物件購入に必要な“年収”がわかります。年収の何倍まで融資が可能かを示す指標です。
- 各金融機関×物件 で必要な属性を把握する
金融機関によって戦略も考え方も違っているのが現状ですので、金融機関別に対策を考えるか、自分の属性にあった金融機関を探すかの二択になります。銀行の融資には、よく五つの原則があると言われています。①公共性、②収益性、③健全性、④成長性、⑤処分性です。公共性とは、物件の安定性と言い換えられます。いわゆる違法建築・反社会勢力の住人などです。また安全で快適な居住空間を提供することが公共性につながるとも言われます。収益性はそのままリスクに見合った金利を徴収する事ができるかです。健全性は既存事業で十分な利益は出ているのかを問いますので、非常にシンプルです。成長性は将来の社会構造の変化を見越し、それに対応した事業(物件)であるかを判断します。そして処分性は、不動産の流動性が高いかどうかいうことになります。
常にこの原則に合わせて融資を受けられるかが重要になります。今後は、銀行が融資先を選別するように、堅実な投資家による銀行の選別も進んでいくと見られています。
2018/09/18