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農業と太陽光発電事業のハイブリッドビジネス「ソーラーシェアリング」が地方創生の鍵となる!?

2018/01/09

地方創生が進まない日本の現状

首都圏一極集中の是正、地方の産業の活性化など、地方創生にまつわる問題点についてさまざま議論がされていますが、現実問題として、地方創生で成功した事例がまだ少ないのが実情です。

 

若い人たちが十分な収入が得られる働く場が地方にあれば、都市部への人口転出は今ほど進まなかったはずです。今の地方創生の問題は、若い世代が地元に残りたいと思い、都市部からも積極的に転入したいと思うような具体的な仕組みや産業が乏しいことだと言えるでしょう。

 

そこで今回のトピックでは、日本各地に放置された耕作放棄地を、再生可能エネルギーを活用することで売電収入を生み、農耕地として再生することで、新たな雇用を創出することができる「ソーラーシェアリング」という事業の可能性について考えてみたいと思います。

「ソーラーシェアリング」とは、農地を使って行う太陽光発電事業

「ソーラーシェアリング」というのは、一言で説明すると、農地に支柱を立てて上部に太陽光発電の発電設備を設置し、農業と発電事業を同時に行う太陽光発電事業のことを言います。(農林水産省では「営農型発電設備」と言います。)

 

太陽光発電所と聞くと、住宅の屋根の上にパネルを設置するタイプや、土地を切り開いて地面にパネルを設置するタイプ(野立て式)をよく目にするので、一般的にはこれらのタイプを思い浮かべるかもしれません。

 

土地活用という観点からみると、太陽光発電事業も効果的だとは言えますが、大規模な発電所を施工できる用地の開発が一通り終わり、新しい発電所を開発するには限りがあります。それに加えて、発電事業の固定価格買取単価も下がってきているので、土地の金額が高い場所では開発ができない現状があります。

 

また、地面に置くタイプ(野立て式)の太陽光発電所では、造成した地面の上に直接パネルを設置するので、パネルの下の土地を利用して、農業など他の利用をすることは出来ないという問題もありました。

 

そこで、農業をしながら太陽光発電もできないかという発想の元、「ソーラーシェアリング」という技術が開発されました。

 

それでは、この事業のメリットとデメリットについて確認してみましょう。

 

■ソーラーシェアリング事業の主なメリットとデメリット

 

【メリット】

  • 農業からの収益と発電事業からの収益を得ることができる。
  • 産業用の太陽光発電設備に必要なフェンスなどの費用がかからない。
  • 産業用の太陽光発電に比べ一般的に土地代が安く抑えられる。

 

【デメリット】

  • 住宅用や産業用の太陽光発電と比べ架台などの設備コストがかかる。
  • 3年ごとの許可申請と、毎年の農作物の収穫量の報告が必要。
  • ソーラーシェアリングをした農地で栽培できる農作物が制限される。

※法令上は農作物の制限はありません。

参考資料:営農型発電設備の実務用Q&A(農林水産省)

 

これらのメリット・デメリットがあります。

 

この中でも、その土地で農業を継続させないといけないことが、ソーラーシェアリング事業を続ける上で、最大のハードルになると考えられます。

地方創生を進めるには「投資」の流れをつくる必要がある

元来「ソーラーシェアリング」は、農業の継続を前提に、太陽光発電事業というプラス収益をもたらす事業なので、農家のために開発されたものと言っても良いでしょう。

 

しかし、農林水産省の平成28年度の統計データによると、日本の農業従事者の平均年齢は66.8歳となっています。新たに融資を受けて新規事業を開始するには年齢的に厳しいと考えられます。そのため、多くの方が躊躇してしまうのではないでしょうか。

 

参照:農業就業人口及び基幹的農業従事者数(農林水産省)

 

そこで、農業を実際に営む部分を、信頼のおける農業法人に業務委託をする形で、投資家にこのビジネスに投資をしてもらう形ができないか、という発想が出てきました。

 

耕作放棄地を地主から借りて、農業法人に農業を委託しながら、その土地で太陽光発電事業を行う。

 

地主にとっても、これまで転用できなかった土地に借り手ができ、しかも農業をしてもらえるのであれば、メリットがあると言えるでしょう。

 

投資家にとってみれば、太陽光発電からの売電収入の他に、農作物の収益も見込めます。育てる農作物や販売する地域によって収益の金額は変わってくるでしょうが、プラスの要因として捉えて良いかと思います。

 

さらには、地方の耕作放棄地に、「ソーラーシェアリング」というビジネスへの投資を呼び込むことで、雇用が活性化し、地方創生も進めていくことができるかもしれません。

地方創生の一翼を担う「ソーラーシェアリング」

日本各地に放置されたままの耕作放棄地を再生可能エネルギーの活用に利用し、農業を復活させ新たな雇用を創出する。

 

太陽の恵みを活かすソーラー発電事業とその地方にしかできない農業を組み合わせることによってできる新しい産業が、この「ソーラーシェアリング」です。

 

ソーラーシェアリングの事業モデルは、土地所有者と投資家を結びつけることで、地域の活性化も見込める壮大な事業モデルです。日本の農業が抱えている課題にも光をさすことが期待できます。

 

ソーラーシェアリングというビジネスの普及に伴い、発電設備コストは削減されていくでしょうから、ビジネスへの参入者も増えていくと考えられます。この事業のこれからの展開に注目していきたいですね。

2018/01/09

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