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黒字でも倒産する? 不動産賃貸業で注意すべき「デッドクロス」とは?

2016/09/15

毎月家賃収入があって、黒字でも倒産することがある!

こんにちは。株式会社フィット「投資の窓口」編集部です。

 

不動産賃貸業では、帳簿上は利益が出ても、キャッシュが不足して倒産することがあるというのは、ご存知でしょうか?

 

いわゆる黒字倒産ですが、その黒字倒産が起きる要因の一つに「デッドクロス」という事象があります。

 

今回は、この「デッドクロス」について、お伝えしたいと思います。

不動産賃貸業の「デッドクロス」とは?

もともと、「デッドクロス」という言葉は、株式投資の用語で、短期移動平均線が長期移動平均線を上から下に抜ける事を指していて、一般的に売りのサインと言われているポイントのことです。

 

一方、不動産賃貸業における「デッドクロス」とは、借入金の返済額が減価償却を上回るようになった状態のことをいいます。

 

一般的に、物件を購入した後、当初は減価償却費が大きく、キャッシュに余裕がある状態にあります。

 

しかし年数が経つにつれて、減価償却ができる額が減少してくるので、資金繰りが苦しくなります。

 

この「デッドクロス」が起きる要因を知るには、減価償却費と借入金の返済方式の関係を理解することが、とても重要となります。

不動産賃貸業における「減価償却費」

最初に、固定資産(物件の建物部分と付属設備の部分)の減価償却費の計算方法について見てみましょう。

 

減価償却費の計算方法には、定額法定率法の2つの方法があります。

 

(平成28年度税制改正※において、平成28年4月1日以後に取得する建物附属設備及び構築物の法人税法上の減価償却方法について、定率法が廃止されて定額法のみとなりました。

平成28年3月31日以前に取得した建物附属設備・構築物に定率法を適用している場合は、耐用年数終了まで定率法をそのまま適用することになります。

このトピックでは、この平成28年3月31日以前に取得した建物附属設備及び構築物の法人税法上の減価償却費方法である定額法と定率法について説明させていただきます。)

 

定額法とは、耐用年数の期間中、毎年同一額を減価償却する方法で、定率法とは毎年一定率を減価償却する方法となります。

 

・定額法:固定資産の取得価額 × 定額法の償却率

・定率法:固定資産の未償却残高 × 定率法の償却率

 

※償却率は、固定資産の耐用年数によって決定します。

 

※未償却残高とは、固定資産の取得価額から減価償却の累計額(取得してから保有時点までの合計)を差し引いた金額です。

 

通常、建物部分は定額法、付属設備の部分は定率法を採用して計算します。

 

例1:

建物部分が1,000万円で定額法の償却率が0.2とした場合

 

  • 1年目 1,000万円×0.2=200万円(残800万円)
  • 2年目 1,000万円×0.2=200万円(残600万円)
  • 3年目 1,000万円×0.2=200万円(残400万円)
  • 4年目 1,000万円×0.2=200万円(残200万円)
  • 5年目 1,000万円×0.2=200万円(残0円)
  • 6年目以降 1円 (備忘価格として、除却や廃棄のように資産が存在しなくなるまで1円が残ります。)

 

以上のように、減価償却費という経費に計上されます。

 

例2:

付属設備が100万円で定率法の償却率が0.5とした場合

 

  • 1年目 100万円×0.5=50万円(残50万円)
  • 2年目 50万円×0.5=25万円(残25万円)
  • 3年目 25万円×0.5=12万5千円(残12万5千円)
  • 4年目 12.5万円×0.5=6万2500円・・・・・(以降、割愛します)

 

このようになります。

 

初期は減価償却費が多く、年数を経過するにつれて少なくなっていくのがわかります。

 

付属設備部分の減価償却費が年々減少することで、計上できる経費は減少していきます。

 

その分、(家賃収入がある程度一定だとすると)利益は増えるので、結果的に所得税が増加することになるのです。

 

 

▼ 減価償却費について詳しく知りたい方は、こちらの記事も併せてお読みください。

参考:「減価償却費」を正しく理解して活用しよう。不動産事業でよりキャッシュを残すためには?」

借入金の返済形式の違い

「デッドクロス」が起きるもう一つの大切な要因は、借入金の返済形式に関係します。

 

通常、不動産物件を購入する際は、銀行から借り入れをすることが多いと思います。

 

この借入金の返済形式は「元利均等返済方式」を採ることが多いです。

 

「元利均等返済方式」とは、月々の返済額が一定になるように、元金と利息の割合を調整する方式で、借入の当初は、利息の返済割合が大きくなるのが特徴です。

 

利息部分は経費として計上できます。

 

利息は、元金の残金に一定の利率を掛けて計算されますので、年数が経過して借入の返済が進むと、この利息の割合は少なくなっていきます。

 

そうすると、今度は元金の返済割合が増加していきます。

元金の返済は、経費計上できません。

 

経費にできない元金返済部分が増加して、経費にできる減価償却費よりも金額が大きくなった時が、「デッドクロス」のポイントとなります。

デッドクロスを先読みして対策を取る

「デッドクロス」を避ける唯一の方法は、現金で物件を購入するしかありません。

 

しかしながら、現実には、金融機関から融資を受けて購入するのが一般的でしょう。

 

融資を受けて物件を購入するのであれば、デッドクロス」には常に気をつけなければならないことを認識しておきましょう。

 

長期的な利益とキャッシュフローのシミュレーションを行うこと。

 

毎年入ってくる家賃収入と毎年変化する経費の推移を確認することです。

 

支出の内容によって、必要経費にできるものとできないものがあるので、上手く節税をしながら、キャッシュが残る対策を取る必要があります。

 

くれぐれも、物件を購入した当初のキャッシュフローの感覚のままでいるのではなく、「黒字倒産」が起きないようと危機感を持ちながら、不動産賃貸事業を行う必要があるのです。

 

※ 参照:平成28年度税制改正の大綱(3/7)

http://www.mof.go.jp/tax_policy/tax_reform/outline/fy2016/28taikou_03.htm

 

文/株式会社フィット「投資の窓口」編集部

2016/09/15

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