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ムダの多い日本の家づくり。日本の家は何故こんなに高いのか?

2016/08/08

住宅業界の時代錯誤を考える

こんにちは。株式会社フィット「投資の窓口」編集部です。

 

今やあらゆるモノの生産においてオートメーション化、産業化が進んでいるのに対し、家づくりというのは、いまだに一品生産がほとんどです。

 

「家づくりはこんなもんだ」

「家はこれくらい高くて当たり前」

 

そう考える住宅業界の人と、購入する側の人の思惑が一致しているからかも知れません。

 

事業というものは、本気でやれば少しずつでも価格を抑えることができます。

 

他の産業では、会社の生き残りをかけてどんどん改革を進めているのに、住宅業界では、いまだに職人さんがそれぞれバラバラに作業をしたり、建具や扉、棚をはじめとして、間取りや構造もお客さまが好むものを一品一品オーダーメイドで作っています。

 

これではコストを削減しようにもできないと言った方が正しいかも知れません。

 

日本の家づくりは、「家へのこだわり」「品質」を重視して、「これだけかかったからお客様に負担していただかないといけない」という考えのもと、価格が決定されます。

 

結果的に、値段的に売れにくい金額となるので、広告宣伝や営業を強化し、魅力を付けることによって、商品を売ろうとする形になるのです。

日本の家はなぜ高いのか?

それでは、日本の家づくりのムダはどの部分にあるのでしょうか?

 

大きく「(1)販売プロセスのムダ」と「(2)現場管理のムダ(材料費、労務費)」に分けることができます。

 

まず、「(1)販売プロセスのムダ」についてですが、住宅専門の営業マンの存在、大きなモデルハウスをつくって販売促進を行うことによる販売効率の悪さがあります。

 

国内大手の住宅販売会社にこの傾向が高いのですが、海外の住宅会社の場合、日本のような大きくて豪華なモデルハウスはありません。

 

日本の多くの住宅会社は、消費者のことを考えるよりも、自社のブランディングにおける付加価値を求めて、モデルハウスをつくっています。

 

当然、モデルハウスの建設費用は、消費者であるお客様が家を買う際に、上乗せされているのです。

 

次は、「(2)−1材料のムダ」です。

 

仕入れた材料を100%利用できていればいいのですが、実際には現場での切断・作業ミスによる破損、盗難や、予備で納入されたものが使われず残材として持ち帰られています。

 

特に注文住宅の場合、この傾向が顕著です。

 

揚げ句の果てには、不要になった材料は産業廃棄物になるため、今度はお金を払って捨てています。

 

そして、「(2)−2労務費のムダ」です。

 

日本の建築業界では、建築現場の作業は職人さん特有の「見て学ぶ」世界でつくってきました。

 

決まったマニュアルや基準は標準化されておらず、それぞれの職人さんの技術に任せてやられている為、必ずしも効率的ではない手順で工事が進められています。

 

例えば、重い建材の運搬移動は、力さえあればアルバイトでもできる仕事ですが、高賃金を得る熟練工がやっているのです。

 

「賃金を自覚した労働」ができていないということになりますね。

 

これらの問題が解消され、工程管理がうまくコントロールできれば、ムダが削減でき、さらに価格を抑えて家を提供できるのではないでしょうか?

コンストラクション・マネジメント

なぜ、日本の住宅産業は、非生産的な業界になってしまっているのか?

 

考えられる理由の一つとして、建築の経済学「コンストラクション・マネジメント」が日本の大学であまり教えられていないという建築教育の体制が挙げられます。

 

「コンストラクション・マネジメント」(以下、「CM」)とは、建設現場における機械や工法というハードな技術を、いかに計画どおりに、遊びなく行えるかという管理の技術です。

 

このCMという管理技術は、工事についての原価管理、工程管理、品質管理という3つの大きな管理技術によって、建築生産を管理するものです。

 

つまり、設計、施工のすべての過程において、規格化、標準化、単純化、共通化を推進し、ムリ・ムダ・ムラを発見し排除するものです。

 

そのためには、同じ設計図書により、同じ材料、同じ工法、同じ機械工具を使って設計事業を行う必要があります。

 

本来であれば、設計者が作成した設計図書を見れば、やるべき工事のすべてが明らかにされており、必要な材料の数量も労務の数量もわかるものになっているはずです。

 

しかし、日本の住宅産業に携わる人は、設計図書を見ても、消費者のように間取りが分かる程度か、建築主事のように建築基準法に適合していることがわかる程度の技術力しかないレベルの人がいます。

 

逆に言えば、そのレベルの技術力があれば、この業界では仕事が務まっているということなのです。

 

つまり、CMという建築教育で材料と労務を正確に積算する技術を身につけていないのです。

 

このことから考えないといけないのは、日本の住宅産業を発展させ、日本の住宅の生産性をあげるために、住宅業界全体として、住宅の設計図書の一部である共通仕様書の形式を統一することが必要だと思います。

 

受注した請負工事費から粗利を先取りして、あとは仕事を分解して、施工店、工事業者、親方、職人と下請けさせるような仕事のやり方ではなく、明確な材料費と労務費を算出し、正しい賃金と原価管理を行うべきなのです。

 

このCMという考え方が、結果的には、適正な価格の住宅をお客様に供給できるのだと、考えています。

 

このように、日本の住宅業界は、様々な側面で、まだまだ改善できる部分が多くあると考えます。

 

これら多くの課題に貪欲に取り組み、合理的に解決できる会社が、これからの世の中に求められているのではないでしょうか?

 

 

文/株式会社フィット「投資の窓口」編集部

タグ:

住宅産業

2016/08/08

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