物件に雨漏りが発生したらどうする?オーナーさんの責任や取るべき対応を解説
2023/07/24
- 物件の雨漏り修繕はオーナーさんの義務?
所有物件に雨漏りが発生した場合、修繕の義務はオーナーさんと入居者のどちらにあるのでしょうか。
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「賃貸物を適切に使用収益させる義務」がある
オーナーさんには賃貸物を適切に使用し収益させる義務があります。
賃貸人は、賃貸物の使用及び収益に必要な修繕をする義務を負う。ただし、賃借人の責めに帰すべき事由によってその修繕が必要となったときは、この限りでない。(民法606条 賃貸人による修繕等)
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雨漏りは自然現象が要因となるもので、賃借人に責任がなく、オーナーさん側での修繕となるのが一般的でしょう。
雨漏りを修繕しない場合は契約解除の可能性もある
また、賃借人に責任がないのにも関わらずオーナーさんが雨漏りを修繕しない場合は賃料の減額の必要性や、入居者側から契約解除の申し入れがある可能性に注意が必要です。
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①賃借物の一部が滅失その他の事由により使用及び収益をすることができなくなった場合において、それが賃借人の責めに帰することができない事由によるものであるときは、賃料は、その使用及び収益をすることができなくなった部分の割合に応じて、減額される。
②賃借物の一部が滅失その他の事由により使用及び収益をすることができなくなった場合において、残存する部分のみでは賃借人が賃借をした目的を達することができないときは、賃借人は、契約の解除をすることができる。
(民法611条 賃借物一部滅失等による賃料の減額等)
- 物件の雨漏りで家財に被害が及んだ場合の責任は?
さらに、物件の雨漏りが原因で家財に被害が及んだ場合の責任はどうなるのでしょうか。
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損害賠償責任を負う可能性がある
賃借人に責任がない状態で雨漏りにより家財に被害が及んだ場合、オーナーさんは損害賠償責任を負わなければならない可能性があります。
損害賠償責任を負わない特約は有効?
賃貸契約時に「雨漏りによる損害賠償責任を負わない」といった特約を盛り込むこと自体は可能です。しかし、実際にこうした特約を盛り込んだうえで賃貸契約を結んだ場合でも入居者が納得がいかないという場合は状況次第で特約が有効か無効かを判断されることになるでしょう。「損害賠償責任を負わない特約は無効」ではないものの、オーナーさん側に「修繕を怠っていた」などの理由がある場合には損害賠償責任を負わなければならない可能性もあるのです。
- 雨漏りが発生したときにオーナーさんが取るべき対応
ここでは、雨漏りが発生したときに取るべき対応について見ていきましょう。
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①雨漏りの状況など写真を撮る
まずは雨漏りの状況について写真を撮るようにします。管理会社に委託している場合は、管理会社が担当することになります。
②工事業者を手配する
工事業者の手配はできるだけ迅速にに行うことが大切です。工事が遅れたことにより入居者の家財に被害が及ぶなどすると入居者の怒りを買ってしまうことになりかねません。夜間の場合でも、バケツを置くなどして一時的にその場をしのぎ、翌日すぐに修繕対応できるよう、あらかじめ工事業者を手配しておきましょう。
③保険会社と交渉する
工事業者の手配と並行して状況の確認と報告書の作成を行い、具体的な補償内容について保険会社と交渉します。なお、台風や大雨を原因とした雨漏りは火災保険の対象となりますが、屋根材の経年劣化を理由とした雨漏りの場合は火災保険の対象とならない場合があります。
その他、状況次第でどの程度の補償となるかが変わるため、正確に状況を伝えることが大切です。
▼『フィット賃貸経営通信』7月号より
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2023/07/24