フリーレント物件は本当にお得?借り手と貸し手それぞれの視点から考えてみよう
2016/09/11
- 無料より怖いものはないっていうけど、フリーレント物件はどうなの?
こんにちは。株式会社フィット「投資の窓口」編集部です。
「フリーレント(Free Rent)」という言葉を、見たり聞いたりしたことはありますか?
わかりやすい英語なので、言葉の意味は、何となく理解できるのではないでしょうか。
「フリーレント」とは文字通り「無料で借りる」という意味。
不動産業界で「フリーレント」と言う場合、入居後の一定期間の家賃が無料となる仕組みのことを言います。
今回は、その「フリーレント」について借り手(入居者)と貸し手(大家さん)両方の視点から考えてみたいと思います。
- フリーレント物件って、そもそもどうして存在するの?─ 大家さんの事情
まずは、賃貸物件を所有している大家さんから見たフリーレントについて、考えてみましょう。
自分の所有している物件に空室があれば、できるだけ早く入居者に入ってもらいたいものですね。
賃貸物件の空室を早く埋めるための策として、毎月の賃料を下げて募集するという方法があります。
しかし、賃料を下げて募集をすれば、既に入居している他の部屋の居住者から、賃料を下げて欲しいと要求が出てくるかもしれません。
ところが「フリーレント」という特典の形をとれば、賃料は現状のまま下げずに、実質的な値引きをして、お得感を出すことができます。
賃料は変わらないため、居住者間の不公平感が抑えられ、賃料の値下げ要求も回避しやすくなりますよね。
また、所有している物件を売却する時にも、賃料は重要になります。
投資物件では、年間賃料を売買代金で割った「利回り」が重視されます。
例えば1年間の賃料が120万円(月額10万円)の物件を2,000万円で売るときに、表面利回りは6%となりますが、この物件の月額の賃料を値下げして8万円にしてしまうと、同じく2,000万円で売却すると表面利回りは、4.8%まで落ちてしまうのです!
こうした事情もあり、投資物件のオーナー(大家さん)は、フリーレントをしてでも、毎月の賃料は出来るだけ現状のままに維持しておきたいと考えるのです。
大家さんにとって、フリーレントは、価値を下げずにお得感を出して入居者を集めるためのテクニックだと言えるでしょう。
- 借り手にとってフリーレント物件は本当にお得? 短期で退去するとペナルティも!
大家さんからみたとき、入居はして欲しいけれど「家賃は無料、解約もいつでも自由」は商売が成り立ちません。
そのため、フリーレント物件の契約では、一定期間内の解約に対しては、違約金やフリーレント期間相当分の賃料支払いなどを求める条項が盛り込まれているのが一般的です。
転勤などの急な事情によって、契約期間内に退室することになった場合などで違約金が発生すると、逆に負担が大きくなってしまう場合もありますので、契約条件をしっかりと確認しておく必要があります。
また、フリーレント期間中の賃料は無料でも、管理費や共益費は必要な場合があります。こちらも契約時にあわせて確認しておきたいですね。
物件によっては、フリーレントの物件のみ、管理費や共益費が他の部屋より高く設定されている可能性もあります。
その場合は、フリーレントで賃料が無料の期間があり、お得感があっても、一定期間以上住むと結果的に余分に払っていたということにもなりかねません。
現実的には、2年程度の短期間ならフリーレントの物件が、合計の支出が少ないといわれています。
しかし、契約を更新して長期間住むことになれば、通常の物件よりも割高になる場合もあるというデメリットも考えられます。
インターネットでの情報や募集図面には、違約金について書かれていないこともありますので、フリーレント物件を探す時は、必ず不動産屋さんに確認するようにしましょう。
- フリーレントは、大家さんの経営努力の表れかも?
様々な注意点もあるフリーレントですが、賃貸物件を所有する大家さんの経営努力とも言えます。
人が住まない空き家は痛みが早いと言われるように、空室が続くと物件自体も痛んできますし、何よりも物件が寂れてくると今度は入居者がつかなくなるという悪循環に陥ってしまいます。
そうならないように努めてフリーレントを取り入れている大家さんは、他の点でも入居者さんに喜んでもらおうと影ながら努力をしている、優秀な経営者なのかもしれません。
今回は「フリーレント」について、借り手と貸し手の両方の視点から考えてきましたが、ご自身のニーズと合っていて実際に割安であれば、メリットも大きいのがフリーレント物件の特徴です。
家を探している時に、条件の合うフリーレント物件を見つけた場合は、一度検討してみるのも良いかもしれませんよ。
文/株式会社フィット「投資の窓口」編集部
2016/09/11