気をつけて! その「もったいない」、認知バイアスがかかっているかも?
2016/06/27
- その「もったいない」、認知バイアスがかかっていませんか?
こんにちは。株式会社フィット「投資の窓口」編集部です。
セールに出掛けたけど、特に欲しいものが見つからなかったということ、ありますよね。
普段、忙しくしている人なら「わざわざ休日を使ってセールに来たのに、何も買わないのは損だ 」と、時間をもったいなく感じるかもしれません。
「せっかく安くなっているのに、買わないのはもったいない」と感じる人もいるでしょう。
そして、欲しくもなく、必要でもないものを買ってしまう。
誰もがこういった経験をお持ちではないでしょうか?
買い物に費やした時間、労力、値下げ率、…
「ここで買わないともったいない!」と感じる気持ちは、よくわかります。
ですが、必要でもないものを買うことと比べて、本当に無駄なのはどちらでしょうか?
このように、合理的な判断ができなくなってしまっている時、わたしたちの頭の中では、自分の利害や希望に沿って、考えが歪められてしまっています。
こういった現象を「認知バイアス」と言います。
- 損したくないという思いが、損を広げてしまう「サンクコスト」への執着
経済の観点で考えてみましょう。
先の例で「わざわざ休日を使ってセールに来たのに、何も買わないのは損だ 」と考えた人の場合、すでに「時間」と「労力」を投資しています。
この時間と労力は、当然、いまさら戻ってきません。
このように、すでに使ってしまったコストを、経済の世界では「サンクコスト(埋没費用)」と言います。
合理的に考えれば「仕方がない」と割り切ってしまうのが賢明ですね。
ですが、サンクコストに捕らわれてしまうと、「損をしたくない」という思いから、不要なものを買って、さらに損を広げてしまうのです。
このように、すでに投じたものを無駄にしたくないために、手を引くのが遅れ、結果として損が大きくなってしまうのは、投資でしてしまいがちな失敗のひとつです。
「今やめたら、これまでの投資が無駄になる」
そんな風に思った時は、サンクコストに捕らわれて、不合理な判断をしてしまわないように、冷静になって考える必要がありますね。
こういった心理現象は、実は、身近なところでは、恋愛でよく起こりがちな失敗でもあります。
「もう何年も付き合っているし、今さら」という思いで、文句を言いながら、ずるずると関係を続けてしまったり、「こんなに尽くしたのに」と、投資した分を取り戻そうとする。
そんな心情に心当たりのある人は、早く失敗を認めて次へ向かうのが、幸せへの近道かもしれません・・・
- 「損はここまで」と、自分で負け方を決める勇気を持つ
人間にとって、得をした喜びよりも、損をした時に負った心理的なダメージのほうが、強く印象に残ると言います。
わたしたち人間は、損をするのが大嫌いなのですね。
損を認めるのは、自分の失敗を認めるということ。
「自分のせいで負けた」と受け入れることは、心理的なダメージが大きいため、どうにか避けたいという心理が働くものなのです。
ですが「損はここまでにしよう」と、自分で負け方を決めることも大切です。
これを、投資では「損切り」と言います。
ヘッジファンドで巨万の富を築き、「世界三大投資家」の一人と言われるジョージ・ソロス氏は「いかに他人よりも早く欠点に気づいて損切りするかが、投資の秘けつである」と言っています。
損をきっぱりと割り切ることは、簡単そうで難しいこと。
特に日本人には昔から「もったいない精神」が受け継がれていて、手放すことが苦手な国民性なのかもしれません。
ですが、損を手放せば、少なくとも損が最小限に押さえられるのだということを、ぜひ知っておいてくださいね。
文/株式会社フィット「投資の窓口」編集部
2016/06/27