知っておきたい事故物件の定義 取り扱い
2022/11/21
- “事故物件”の定義
事故物件とは心理的瑕疵がある物件のことを指します。具体的には自殺や他殺の他に、火災や事故で亡くなるなどの「もし事前に知っていたら不動産契約しなかった」という事実がある物件のことです。現状、事故物件の定義がまだ曖昧なことが多く「所有する部屋で人が死亡した物件はすべて事故物件に該当するのではないか?」と考えるオーナーさんも少なくありません。
しかし2021年10月に事故物件に関するガイドラインが制定され、自然死や日常生活中の不慮の死は事故物件に該当しないことになりました。自然死や日常生活で起こる転倒などの不慮の死は、誰にでも起こる可能性があるからです。ただし自然死であっても、例えばすぐに発見されなかった場合は例外です。亡くなってから長期間経過すると臭いや汚れが染みつくだけでなく、契約者の心理にも影響を及ぼす可能性が高いからです。
- 告知について
自殺や他殺、特殊清掃が必要な死の場合は必ず入居者に対して心理的瑕疵について物件概要で伝える必要があります。そして売却物件の場合、告知期間は法律で定められていません。
宅地宅建取引業者が心理的瑕疵を伝えることは、宅地建物取引業法によって決められています。
ただし告知義務があるのは、あくまでも宅地建物取引業者が把握している内容に関してのみです。
しかしオーナーさんは事故物件であることを隠さないのが賢明です。仮に事実を伏せて売却もしくは賃貸契約をしたとしても、入居後に事故物件であることがわかって契約者が心理的にダメージを負った場合、契約不適合責任等を免れることはできません。過去には事故物件であることを伝えなかったことから、損害賠償請求をされたケースもあります。トラブルを防ぐためには、事故物件であることを宅地建物取引業者や契約者に対して素直に伝える必要があります。
- 国土交通省の事故物件ガイドライン
国土交通省が定めた「事故物件ガイドライン」が存在するものの、それ自体に拘束力はないため、告知に関しては各自で判断するのが実情です。告知しなくても良いケースもあります。一例としては、先に記載した自然死や日常生活中に起こり得る死です。
また集合住宅の共用部分で発生した場合や、発生後約3年経過した場合なども告知しなくても良いケースに該当します。
特に注目すべき点は、賃貸物件においての取り決めです。
これまでと異なり自殺や他殺、特殊清掃が必要な場合でも、発生してからおおむね3年経過した場合は契約希望者に伝えなくても良いことになりました。
つまり物件オーナーさんにとっては、空室が続くリスクが軽減されます。ただしガイドラインで定められた期間を超えた場合でも、契約者に心理的瑕疵があることを伝えなければならないケースもあります。
例えば社会に与えた影響が大きい心理的瑕疵です。ニュースなどで大きく取り扱われた殺人事件や自殺は、長い年月が経過しても人々の心に悪いイメージが残ることが考えられるからです。また購入希望者や賃貸契約希望者に心理的瑕疵の有無を尋ねられた場合も告知しなければなりません。
▼『フィット賃貸経営通信』11号より
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2022/11/21