お金の増やし方の基礎になる、リスクとリターンの正しい理解
2017/06/02
- 投資の世界では「ローリスク・ハイリターンはあり得ない」のが常識
こんにちは。株式会社フィット「投資の窓口」編集部です。
投資における「リスク」と「リターン」については、これまでにも書いて来ましたので、「もう知ってるよ〜」と思われるかもしれませんね。
今回は、しっかり理解を深めて身につけるため、正しい理解ができているか、おさらいしておきましょう。
なぜなら、投資のリスクとリターンの理解は、お金の増やし方の基礎になるものだからです。
最も大切なポイントは、「リスク」とはリターンの変動幅のこと、つまり「収益のばらつきの大きさ」のことを言うということです。
ということは、リスクが無ければ、リターンは生まれないことになります。
だから、投資の世界では「ローリスク・ハイリターンはあり得ない」となるのですね。
- 「ノーリスク」の本当の意味
投資の世界で「ノーリスク」という場合、リターンの変動幅が無いことを意味します。
変動幅が無いということは、儲けの可能性が無いということ。
これが、「ノーリスク」の本当の意味です。
例えば、一万円で買った株が、いつまでも変わらず一万円だということ。
株価がいつまでも全く変わらない株…。
そんな株を買いたいとは、あまり思わないでしょう。
このように、投資の世界で「ノーリスク」と言ったら、「安全」という意味ではなく、変動が無いことを意味します。
リスクがあるからこそリターンがあるのが原則。
リスクこそが、リターンを生み出す源泉なのです。
ということは、リスクを避けていては儲けを得られないことになります。
リスクを知った上で、上手に付き合うことが大切になりますね。
- 「リターン」を正しく理解しよう
「リターン」についても、単なる儲けを意味しているわけではありません。
佐伯良隆さんの著書『知っておきたいホントに大事なお金の話』に、わかりやすい例がありますので、そちらを参考にご紹介しましょう。
もしもあなたの貯金が100万円あるとします。
A:半々の確率で、150万円か50万円になる
B:半々の確率で、110万円か90万円になる
どちらかを選ぶとしたら、あなたなら、どちらを選びますか?
Aの場合は、半分になるかもしれないけど、一気に1.5倍になる可能性があります。
ブレ幅が大きく、一見、ハイリスク・ハイリターンに見えますよね?
Bの方は、ローリスク・ローリターンに見えるのではないでしょうか?
ここで、大切な話です。
投資の世界では、リターンとは「どれぐらいの儲けが得られそうか?」という見込みを言います。
ということは、儲けのブレ幅だけでなく、儲かる確率を計算しなくてはいけません。
半々の確率ということは、50%ですから、実際に計算してみましょう。
儲かる金額に、確率を掛けて計算します。
Aの場合:
+50万×50%=+25万円
−50万×50%=−25万円
Aの期待収益(リターン)
+25万円−25万円=ゼロ
Bの場合:
+10万×50%=+5万円
−10万×50%=−5万円
Bの期待収益(リターン)
+5万円−5万円=ゼロ
…なんということでしょう!
どちらも、期待収益はゼロ、つまりノーリターンということになっていまいました。
どちらの選択肢も、リスクはあるのにリターンはゼロです。
ブレ幅の大きいAの場合は、ハイリスク・ノーリターン。
Bの場合は、ローリスク・ノーリターンということになりますね。
これではリスクとリターンが見合いません。
どちらも選べませんので、少し選択肢を変えてみましょう。
A:半々の確率で、180万円か60万円になる
B:半々の確率で、120万円か90万円になる
この場合は、Aの期待収益(リターン)はプラス20万円になります。
ということは、20万円÷100万円で、期待収益率は20%です。
Bの場合は、期待収益(リターン)はプラス5万円で、期待収益率が5%です。
どうでしょうか?
今度は、どちらも期待収益がプラスとなって、魅力的な選択に見えてきましたね。
ブレ幅の大きいAの場合は、ハイリスク・ハイリターン。
Bの場合は、ローリスク・ローリターンということになります。
さて、どちらを選ぶのが良いのでしょうか?
比べると、リスクも4倍ですが、リターンも4倍。リスクとリターンが見合っているため、どちらにも同じだけ選ぶ価値があり、どちらが得ということはありません。
どちらを選ぶかは、あなた次第です。
- リスクとリターン、正しく見極めて賢く投資しよう
このように、リスクとリターンを正しく理解すると「ローリスク・ハイリターンはあり得ない」ことがよくわかりますよね。
投資をする際には、それがハイリスク・ハイリターンの商品か、ローリスク・ローリターンの商品か、よく見極める必要があります。
世の中には、詐欺まがいの怪しい投資商品も無いわけではありません。
ローリスク・ハイリターンを謳っている商品があったら、まずは疑ってみる方が賢明でしょう。リターンが大きいということは、リスクの計算が甘いのかもしれませんよ。
(参考文献:『知っておきたいホントに大事なお金の話』佐伯良隆 著/高橋書店)
文/株式会社フィット「投資の窓口」編集部
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