「不労所得」は働かないと実現できない!?
2016/07/21
- 「不労所得」は労働せずに所得を得ることではない?
こんにちは。株式会社フィット「投資の窓口」編集部です。
「不労所得」とは、労働をせずして所得を得ることの意味だと思っていませんか?
実は、これは、必ずしもそうとは言えないのです。
不労所得と言われる不動産投資を例にとってみましょう。
不動産投資で賃貸収入を得るにしても、物件のチェックをしたり、契約などの手続きをしたり、物件の管理をしたりという労働が必ず発生します。
全く働かないで所得を得ること、つまりここで想定している「不労所得」というのは、贈与を受ける、または相続を受けるといった機会がない限りありえないのです。
(贈与を受けたり、相続を受けたりということは、誰もが行動すれば実現できるといったことではないので、ここでは取り上げません。)
- 「不労所得」の本来の意味は?
それでは、この「不労所得」という言葉は、そもそも、どういう意味なのでしょうか?
「E-DIC 英和|和英 (イーディック) 第2版」によれば、
ふろうしょとく【不労所得】
=(an) unearned income
となっております。
今度は、逆に、「unearned income」という言葉を調べてみましょう。
「weblio英和辞典・和英辞典」によれば、「unearned income」とは、
- 【会計】前受収益
- 不労所得 (利子/地代/株式配当金/手数料等;⇔earned income)
と説明されています。
「unearned income」は会計の用語で、「前受収益」の意味があるということです。(2の「不労所得」は、そのままの意味なので、説明は割愛します。)
それでは、「前受収益」とは、何なのでしょう。
「前受収益」とは、まだ提供していないサービスや商品の代金を前もって受けた対価を計上するための経過勘定のことです。
ややこしいですね。
少し極端な表現になりますが、簡単に説明すると、先に支払ってもらった前払い金を忘れないように「前受収益」という名前で、帳簿に記載しておきますよ・・・ということです。
前払いしてもらったお金ですが、この段階では、まさに「不労所得」ですよね。
だけど、後々、サービスや商品を提供しないといけませんので、この場合も労働が発生します。
- 「不労所得」は意訳?それとも誤訳?
それでは、今では一般的になっている「不労所得」という概念が、本来の意味ではない解釈として世間に広まったのは、どうしてなのでしょうか?
一説によれば、この「不労所得」という言葉がよく使われるようになったのは、ロバート・キヨサキ、シャロン・レクター著の『金持ち父さん貧乏父さん』(2000年11月筑摩書房)という本が出版されてからと言われています。
この本では、「お金持ちは不労所得で稼ぐ」ということが書かれています。
ここに後々、解釈が取り違えられるような翻訳があったのです。
この『金持ち父さん 貧乏父さん』の原著は英語ですが、この「お金持ちは不労所得で稼ぐ」の部分の表現は、「パッシブ・インカム (passive income)」という単語を使っています。
それを日本語に翻訳するとき、「不労所得」と訳したのです。
本来、passive(パッシブ)という言葉は「受動的」という意味です。
つまり、パッシブ・インカムというのは「受動的所得」と訳すのが厳密には正解です。
お金が入ってくる仕組みを構築して収入を得るというのが、著書のロバート・キヨサキ氏とシャロン・レクター氏が、 『金持ち父さん貧乏父さん』の中で伝えたかったことです。
過去の辞書までさかのぼって調査した訳ではないので、真相は訳者の白根美保子氏に聞いてみないと分かりませんが、「不労所得」と表記した方が、しっくりくるので、こう訳したのかも知れません。
いみじくも、この「不労所得」という言葉自体にインパクトがあった為、その後、我々のイメージの中に、「働かなくても得る収入」という概念が植え付けられたのは、皮肉な話です。
- それでも「不労所得」のすすめ
言葉の意味はどうであれ、「お金が入ってくる仕組みを構築して収入を得る」ことは大切です。
「unearned income」の2番目の意味である「不労所得(利子/地代/株式配当金/手数料等)」についても、まずは元となるお金をつくったり、判断して投資したりという労働が伴います。
もちろん、業務をアウトソーシング化して、極力肉体的な労働の負担がかからないような仕組みを構築する必要があります。
以前にこの「投資の窓口」のトピックでも書いた不動産投資、不動産賃貸業というのは、これまで多くの方が実践されている、仕組み化をしやすい「不労所得」を得る方法です。
こちらのトピックも今一度確認してみてください。
「不労所得」に憧れるのであれば、まずは楽して儲けようとするのではなく、お金が入ってくる仕組みを構築することを、一生懸命にやってみると良いかもしれませんね。
文/株式会社フィット「投資の窓口」編集部
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