ランダムなちょっとした親切。日本とアメリカ、それぞれの形。
2016/03/22
- "Random act of kindness" というムーブメント
こんにちは。株式会社フィット「投資の窓口」編集部です。
“Random act of kindness”という言葉を聞いたことがありますか?
「ランダムな親切」つまり、不特定の状況で、不特定の人に対して、親切な行為をするという意味です。
作家のAnne Herbertさんが提唱してアメリカではじまったムーブメントで、1995年には、人々の親切な行動を推進する非営利団体として「The Random Acts of Kindness Foundation」が設立されています。
旅行者としてアメリカに行くと、見ず知らずの人がとても親切で、驚かされることがよくあります。
飛行機の機内などで、重い荷物を持ち上げようとすると、どこからともなく助けの手が差し伸べられます。
空港で不安気にキョロキョロしていると「May I help you?」と、必ず声を掛けてくれる人がいます。
こちらから頼む前に、誰かが気づいて助けてくれるのです。
大人だけはありません。
小さな子どもたちも同じように親切で、わからないことがあって困っていると、さっと教えてくれたりします。
その背景には、”Random act of kindness”の影響があったのかもしれませんね。
- 日本人には、親切を躊躇してしまう人が多い?
日本では、エレベーターの無い駅で、重いスーツケースを持って長い階段を必死で上っていても、手助けしてくれる人には滅多に出会いません。
アメリカで、見知らぬ人の親切に触れた後だと、がっかりしてしまうこともあります。
日本人には、人に手を差し伸べることや、声を掛けることに躊躇してしまう人が多いのかもしれませんね。
なぜなら、一旦ことばを交わしてしまえば、日本の人たちもとても親切だからです。
先日、交差点で転倒したバイクをなかなか起こすことができずに困っている男性がいました。
遠くからその様子を見ていたのですが、なんと、彼に手を差し伸べたのは、腰の折れ曲がったおばあちゃん。
自分が歩くのも精一杯の様子のおばあちゃんが、大きなバイクを起こそうと手を貸したのです。
それを見るなり、それまで見て見ぬ振りだった周りの人たちが、一斉に集まって手助けをはじめました。
日本の人たちも、見知らぬ人を手助けする気持ちがないわけじゃない。
ただ、「きっかけ」が無いと動けない人が多いのだと感じた出来事でした。
- 見えないところで、そっと行う日本式の「ちょっとした親切」
北野武さんが、著書『新しい道徳』(幻冬舎)の中で、
自分が そうすることが「気持ちいいし 心地よいから」という理由で、飲み屋さんなどのトイレを掃除することがよくあると書かれています。
頼まれた訳でもなければ、誰から評価される訳でもない。
「道徳的に正しいと教えられたから」でもない。
行動の理由が「自分がそうしたいから」というのが素敵ですよね。
誰も見ていないところで、親切な行為をする。
こういうやり方は、人に声を掛けるのをためらう日本人らしいと言えるのかもしれませんね。
さっと気軽に手を差し伸べるアメリカ式、
見えないところで、そっと助ける日本式、
方法は違っても、親切な行動が素晴らしいことに、変わりありません。
知らない人に対しても、知人に対するのと同じようなあたたかい気持ちで、
自発的な親切心や優しさを、誰もが自然に、無理なく持てるようになったら素敵ですね。
“Random act of kindness” のような動きが世界に広がっているのですから、きっと未来は明るいのでしょう!
文/株式会社フィット「投資の窓口」編集部
2016/03/22