~賃貸物件の残置物どうする?~残置物の取り扱いと 手続き・対策
2023/02/20
- 残置物は勝手に処分できない?
賃貸物件において、入居者の退去後に残置物があった場合、オーナーさんは勝手に処分してもよいのでしょうか。残置物があった際の正しい対処法について解説していきます。
○オーナーさんが勝手に撤去するのは違法
オーナーさんが残置物を勝手に撤去すると、残置物の所有者である入居者から「所有権侵害」による損害賠償請求を求められる可能性があります。場合によっては器物損壊罪として刑事罰に該当するケースも考えられます。
○入居者と連絡が取れる場合は撤去を求める
上記のように賃貸物件において、入居者が退去した後の残置物は、オーナーさんが勝手に処分することはできません。入居者と連絡が取れる場合は、まず入居者に残置物の撤去を求めるのが正しい対応となります。また入居者と連絡が取れない場合の詳しい対処法については下記に解説していきます。
- 夜逃げで残置物がある場合の手続き
入居者が正式な手続きを経て退去したケースでは連絡を取ることが容易ですが、仮に入居者が夜逃げしてしまった場合にはどうすればよいのでしょうか。ここでは、夜逃げなどで入居者と連絡が取れない場合の手続きについて見ていきましょう。
1.契約書で残置物の所有権の取り扱いを確認する
まずは、賃貸契約書に残置物の取り扱いについて記載がないかを確認します。賃貸契約の際は一般的に、退去後に残置物がある場合、誰が費用を負担して残置物を処分するのかを取り決め、契約書に明記します。例えば、退去後は残置物の所有権を放棄するという記載があれば、オーナーさんご自身が残置物を処分できます。
2.賃貸契約を解除する
賃貸契約書に残置物の取り決めがない場合は、賃貸契約を解除します。連帯保証人がいるのであれば、連絡して賃貸契約の解除手続きを行いましょう。一方、連帯保証人と連絡が取れなかったり解約手続きに合意してもらえなかったりするケースや、そもそも連帯保証人がいないようなケースでは、民事訴訟を起こして賃貸契約を解除します。
3.強制執行の手続きをする
賃貸契約解除後に、残置物を処分するための強制執行の手続きをとります。具体的には、建物明渡請求の訴訟を起こしたうえで強制執行の申立を行わなければなりません。
4.残置物を撤去する
強制執行の訴訟手続きを行った上で認められた後、残置物が撤去できます。処分はオーナーさん自身で行うか、業者に撤去を依頼することになるでしょう。いずれにせよ、基本的にはオーナーさんが費用を負担しなければなりません。
- 残置物リスクを軽減する方法
以上のように、残置物の処分には多大な手間と費用がかかってしまいます。では、オーナーさんが残置物リスクを軽減するには、どのような対策をとればよいのでしょうか。
1.契約書で残置物について取り決めする
基本的なことですが、まずは契約書で残置物についての取り決めをしておくことが重要です。具体的には、退去後に残置物がある場合は、入居者が所有権を放棄する旨の記載をしておくのがおすすめです。
2.連帯保証人をつける
また、連帯保証人をつけるのも効果的です。最近では、家賃保証会社をつけることで連帯保証人なしで入居可能にするケースも増えていますが、連帯保証人をつけておくと、残置物があるなど何らかのトラブルが発生した際に、賃貸契約の解除手続きを進めやすくなります。家賃保証会社をつけたうえで、さらに連帯保証人をつけることもできるため、検討するとよいでしょう。ただし、連帯保証人をつけることで入居者がつきにくくなる可能性もあるため、総合的な判断が必要となります。
▼『フィット賃貸経営通信』2月号より
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2023/02/20