原状回復義務ガイドラインについての知っておきたいこと
2021/05/03
- 原状回復義務について
今回は賃貸物件のオーナーであれば、必ず知っておきたい原状回復義務についてです。
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【事例】
ペット不可の物件を貸し出したところ、退去時に規約に反してペットを飼っており、柱への傷や、また⼊居者によるクロスへの落書きなどが⾒つかりました。
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まず、基本的なルールを確認しましょう。基本的には、通常損耗、経年劣化によるものについては、家主の負担であり、⼊居者の故意過失によるものについては、⼊居者の負担です。この点は、2020年4⽉施⾏の改正⺠法で法律にも明記さました。
- (賃借⼈の原状回復義務)⺠法第621条
賃借⼈は、賃借物を受け取った後にこれに⽣じた損傷(通常の使⽤及び収益によって⽣じた賃借物の損耗並びに賃借物の経年変化を除く。以下この条において同じ。)がある場合において、賃貸借が終了したときは、その損傷を原状に復する義務を負う。ただし、その損傷が賃借⼈の責めに帰することができない事由によるものであるときは、この限りでない。
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この法律のルールだけではまだよくわからないので、原状回復については、皆さんご存じのとおり、国⼟交通省からより具体的な「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」が⽰されています。実務的にはこちらのガイドラインが定着しているといってよいでしょう。
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⼤まかにいうと、原状回復ガイドラインでは、原状回復に伴う補修内容をA :賃借⼈が通常の住まい⽅、使い⽅をしていても発⽣すると考えられるもの
(経年劣化や通常損耗による部分)
A(+G):通常損耗による部分+グレードアップ部分
B :賃借⼈の住まい⽅、使い⽅次第で発⽣するもので、通常損耗とはいえないもの
A(+B):賃借⼈が通常の住まい⽅、使い⽅をしていても発⽣すると考えられるものであるが、
その後の⼿⼊れ等の賃借⼈の管理が悪く、損耗が発⽣拡⼤したものと考えられるもの.
以上の4つに分けて、「A」「A(+G)」については、「家主負担」とし、「B」「A(+B)」については、「賃借⼈(⼊居者)の負担割合を検討」という内容です。
事例のような⼊居者による落書きなどは、⼊居者のすまい⽅によるものであり、通常損耗ではなく、⼊居者の故意過失によるものと判断されると思います。ペット禁⽌物件でペットを飼ったことにより、損耗が激しくなった場合についても同様です。ですので、落書きやペットを飼ったことによる傷などの原状回復費⽤は⼊居者の負担となります。
ですが、ここからが問題となります。具体的にどの程度の費⽤を⼊居者が負うのか、たとえば、クロスの落書きを消す費⽤を請求できるのか、クロスを新品に交換する費⽤が請求できるのか、ガイドラインでいう「賃借⼈(⼊居者)の負担割合を検討」という意味が問題となります。.
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▼『フィット賃貸経営通信』4月号より
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2021/05/03