【相続対策の成功事例】家族信託を活用した相続対策
2018/07/09
- あるご家族のケース
相続対策は被相続人がお元気なうちに、ご自分で判断ができる間がおすすめです。今回はある相続事例を基に、家族信託の活用例を見ていきましょう。
Aさんのケースの場合、もしAさんが今後何も対策を打たずに認知症と診断されると、建替えや大規模修繕、売却などが難しくなります。特に、築20年の物件では、修繕などが必要になる可能性が高く、「兄弟にも、息子さんにも、迷惑がかかる事態は避けたい」ということでAさんは家族信託をする決断をされました。Aさんの持ち分を信託財産にして、息子さんを受託者、Aさんが委託者・受益者とする信託契約を結ぶことで、ご自身の持ち分のアパートの管理をAさんの息子さんに移すことにしました。
こうして、Aさんのアパートの収益は、Aさんが亡くなるまで、本人に入ってくる形にすることができました。もし、Aさんが認知症と診断されても、今後、建替えや大規模修繕、売却といった重要な決定、さらには他兄弟3名との共有名義上での対策も、息子さんが代わりに実行することが可能になりました。
ただし、同様のケースの場合、認知症と診断されてからの家族信託はできませんので注意が必要です。
- 家族信託制度のメリット
-
※認知症対策外にも幾つかのメリットがあります
①遺言書ではできないことが可能です。
委託者→受託者にて契約で行うため従来の遺言書の方式に従う必要はなくなります。
②財産承継の順位づけが可能になります。
相続対策には生前贈与や遺言書活用がありますが、生前贈与や遺贈をした財産に対しては、その次の相続人を指定できませんが家族信託を利用すれば、最初に指定した受益者が万が一亡くなってしまった場合でも、次の受益者を誰にするなど指定できます。
③教育資金の一括贈与が1500万円まで可能になります。
④家族信託には倒産隔離機能があります。
将来受託者が「別途多額の債務を負ってしまった場合でも、信託財産は差押えられない」という機能があります。
⑤相続時の争いが軽減できます。
受益者の変更に遺言書や遺産分割協議書も必要ありません。
⑥不動産の共有問題・将来の共有相続への紛争予防に活用できます。
共有者としての管理処分権限を共有者の一人に集約させることで、不動産の塩漬けを防ぐことができます。
⑦二次相続が指定できます。
連続信託と言い、受益者が相続人ではなく別の条件にあった人を受益者とする仕組みを作ることが可能です。家族信託は、遺言書よりもより自由度が高く、被相続人や相続人の意向に応じた、新たな相続の仕組みを作ることができます。
2018/07/09