投資の窓口

不動産投資を身近に、簡単に

「不動産小口化商品」と「REIT」は何が違う?メリットとデメリットとは?

2018/03/12

ある不動産投資家の悩み

サラリーマンのAさん(仮名)は、節約で貯めたお金を頭金にして、ワンルーム6部屋の中古アパートを、融資を受けて購入し、晴れて不動産賃貸事業を始めることができました。

 

事業を開始した当初は、Aさんの積極的な営業活動が功を奏したのもあって、6部屋全室が満室となり走り出しは順調だったのですが、年月が経つと共に、空室が出てくるようになりました。

 

何せ築古のアパートなので、思い切った家賃の上昇は望めません。それでも、家賃収入全体から融資の返済、諸経費などを引いても、若干手残りがありました。仮に今この物件を売りに出したとしても、トータルで大きな損は避けられる見積もりです。

 

しかし、このまま物件を手放してしまうと、せっかく始めることができた不動産の賃貸事業が継続できません。できることなら、新たな物件を購入し事業を拡大していきたいのですが、そのための資金が潤沢にあるとはいえない状態です。この物件を所有し不動産賃貸業をこのまま続けるべきか、売却してしまうべきか、Aさんは判断に困っています。

 

不動産賃貸事業を始める前のAさんは、事業を開始さえすれば、家賃収入が定期的に入ってきて段々と事業を拡大することができ、やがてはお金持ちになれると考えていたのですが、現実はなかなか厳しいことを目の当たりにしたようです。

 

Aさんの例のように、不動産賃貸事業を一度始めると、事業を拡大させて行くためには、新たな課題が出てきます。

 

  • 物件を複数所有したい。(分散投資、収益増大)
  • 少ない頭金で次の物件を購入したい。(資金繰り改善、収益増大)
  • 早く次の物件を所有したい。(時間という資産の有効活用)
  • もし失敗と判断したら早く撤退したい。(倒産リスクの回避)

これらの課題は、事業や投資をしていく上では当然のものです。

 

不動産投資は、土地や建物という現物資産があるので、資産がゼロになる極端なリスクは低く、金融機関から融資が受けられるメリットがあります。一方、一つの物件あたりの投資金額が大きいこと、希望の金額ですぐに売却できるとは限らないなどのデメリットもあります。

 

そこで、Aさんは、不動産投資ほど資金を必要としない、新たな投資を探し始めました。

 

【不動産賃貸業の資金面でのメリット・デメリット】

 

メリット

  • 融資を受けて物件を購入できる場合、レバレッジを効かすことが可能。
  • 資産が全くなくなってしまう心配は少ない。
  • 短期的な価格変動リスクは少ない。

デメリット

  • 投資額が少なくない。
  • 融資を受けた場合、金利上昇のリスクがある(変動金利の場合)。
  • 流動性があまり高くない(現金に換えるのに時間がかかる)
  • 物件の維持管理等に手間や費用がかかる。外注する場合は更に費用がかかる。
不動産投資信託「REIT」の特徴、メリットとデメリット

「投資といえば、株やFX、最近では仮想通貨が稼げるみたいだけど、自分はトレーダーには向いていないし、普段はサラリーマンをやっているので無理だ。せっかく不動産賃貸事業を始めたのだから、この経験を生かしていきたい。何か良い資産運用方法はないだろうか?」と、Aさんは考え、色々探していると、「REIT」という投資商品を見つけました。

 

「REIT」とは、「Real Estate Investment Trust」の略で、日本語では「不動産投資信託」とも呼ばれる金融商品です。

 

投資家から資金を集めて、オフィスビル、マンション、商業施設など複数の不動産を購入し、賃貸収入や売買益を投資家に分配される仕組みになっています。

 

いわば、不動産版の投資信託です。数万円程度の小口資金から投資ができ、株式と同じように証券取引所を通じて売買ができるため換金性が高く、現物資産の不動産投資のように、売却時に時間がかかりにくいのが特徴の一つです。

 

ただ、「REIT」は日々の価格変動に留意しなくてはなりません。

 

早速、複数のREIT案件を調べ、少額から投資を始めたAさんですが、少し違和感を覚えました。というのも、「REIT」というのは、投資の内容は、むしろ株式投資に近いものであることに気づいたからです。利益を出す、つまり儲けるには、不動産賃貸業のノウハウよりも、株式投資のノウハウの方がより重要であるということがわかってきました。

 

REITの売買は、証券市場で行われますので、当然ながら、価格の変動があり、価格が上がる時もあれば、下がる時もあります。もちろん不動産投資の家賃収入に当たる「配当」もあるのですが、それも毎回価格変動があり、一定額ではありません。

 

REITにはREITのメリットがあります。値動きの変動性の有無については、投資家の好みの問題です。結局、Aさんにとっては、自分の投資スタイルとは合わないと判断したようです。Aさんは、日々の価格チェックに心を奪われることに苦痛を感じ、次第にREITへの投資には消極的になっていきました。

 

【REITのメリット・デメリット】

 

メリット

  • 少額から投資できるので参入しやすい。
  • 不動産への現物投資とは異なり物件の管理などをする手間がない。
  • 複数の物件に分散投資する案件が多いので、空室リスクなどを回避しやすい。
  • 流動性は、現物の不動産投資より高い。(現金化しやすい。)

デメリット

  • 証券所で取引されているので、需給によって値動きがある。
  • 証券価値が下がった場合、分配金も減る可能性がある。
  • 投資法人が倒産、上場廃止になると、投資証券が無価値になる可能性がある。
最近よく耳にする「不動産小口化商品」とは?

次に、Aさんは「不動産小口化商品」と呼ばれる投資商品があることを見つけました。

 

「不動産小口化商品」とは、簡単にいうと、複数の投資家が出資した資金を原資にして現物の不動産へ投資し、その運用収益(賃料収入)や最終的に得られる売却益を出資者に配分していくものです。つまり、不動産小口化商品は、ある特定の不動産を特定の期間だけ組合、または出資者で共同所有し、その利益(損益)をシェアするという投資方法です。また、不動産小口化商品の販売は、「不動産特定事業法」の認可を受けた事業者だけが出来ることになっています。

 

少額で不動産投資が始められる点は、REITと似ていますが、不動産小口化商品は、組合に出資または出資者の共同出資という形で投資する点、換金の方法は、営業者買取と第三者譲渡の二つがあり、どちらも組合事業を運営する営業者の了解が必要な点、物件の購入は、出資金のみによって1つの物件を購入する点など、異なる部分があります。(※1参照)

 

また、匿名組合型の不動産小口化商品には、優先出資・劣後出資と出資に優先順位をつけた「優先劣後のシステム」を導入することで、元本割れリスクを低減した商品もあります。「優先劣後システム」とは、仮に物件価格が下落してしまった場合でも、出資者(優先出資)の出資金を、事業者(劣後出資)よりも優先して返還させることで、元本の安全性を高める仕組みとなっています。

 

この投資商品をよく調べてみると、資金面で次の投資に足踏みをしているAさんにとって、とても大きな魅力を感じました。

 

「どの地域のどんな物件であれば、どれくらいの賃料で貸すことができるのか?」といった不動産投資の根幹となる調査が、この不動産小口化商品では非常に重要で、Aさんが持つ不動産投資のノウハウが活かせる投資だったからです。

 

現物資産の不動産投資にみられる「流動性の低さ」というデメリットについても、この不動産小口化商品では、比較的短期間で出資金の返還を受けることが可能な案件もあるので、非常にメリットを感じられました。同時に、少額で投資ができるので複数の不動産案件にも投資することが可能となり、リスクを分散させることができます。

 

ただ、この投資商品も、運用期間中に入居者がつかなく、家賃収入が仮に0円だった場合、当然インカムゲインからの配当はゼロになります。キャピタル重視型ファンドはインカムゲインからの配当だけでなく、キャピタルゲイン(売却利益)からの配当もあるのですが、それも同様になるので、この点は注意が必要です。家賃保証(サブリース)が付いている場合は、入居率に関係なく毎月所定の金額が支払われます。ただし、安定性が高い反面、利回りは若干低くなります。当然、業務運営を行なっている事業者が、倒産などした場合には、出資金が全額返還されないリスクはあります。

 

一方、この不動産小口化商品は、まだ市場に出回る商品数が少ないこともあり、公募されるとすぐに出資枠が埋まり、出資できるチャンスが少ないのが、Aさんにとっての現状の悩みどころです。

 

また、現物の不動産投資では物件や属性によっては融資を受けることができましたが、この不動産小口化投資では融資を受けることができず、レバレッジを効かすことが出来ないことにも、考慮しないといけない点となります。

 

※1 「不動産小口化商品」の3つのタイプ

 

「不動産小口化商品」には、主に「匿名組合型」「任意組合型」「賃貸型」という3つのタイプがあります。

 

「匿名組合型」の主な特徴

  • 投資家は組合に対して出資するため、不動産の所有権がない。登記上、不動産特定共同事業者が所有者として登記される。
  • 投資家の名前が登記簿に上がらず匿名となる。
  • 分配金は不動産所得でなく、雑所得となる。

「任意組合型」の主な特徴

  • 投資家と事業者間で任意組合契約を締結、投資家が出資して共同事業を運営。
  • 投資家は共有持分を購入し、これを組合に現物で出資。
  • 不動産の所有権は投資家にある。登記もされ、登記費用も必要。
  • 分配金は不動産所得になる。

「賃貸型」の主な特徴

  • 投資家が、不動産の共有持分権を事業者に委任、不動産賃貸事業から得た収益を投資家に分配。
  • 分配金は不動産所得になる。
  • 登記に所有者全員分の名義を記載する。
  • 万が一、事業者が倒産しても投資家には債権者としての権利が残る。

 

◆「REIT」と「不動産小口化商品」の異なる点(まとめ)

 

「REIT」

売買:証券取引所で自由にできる。

流動性:高い。

物件の所有:複数の物件に投資。

物件の購入:借入を行い、物件を購入。

 

「不動産小口化商品」

売買:営業者買取と第三者譲渡の二つある。どちらも組合事業を運営する営業者の了解が必要。

流動性:比較的高い。

物件の所有:各案件につき物件一つ。

物件の購入:出資金だけで物件を購入。

「不動産小口化商品」の活用方法について

不動産投資経験があるAさんにとっては、都心の一等地にある高額物件でも、少額から投資できることや、分散投資しやすいこと、また案件によっては数ヶ月からという期間の投資ができ、資金を寝かすリスクが減らせることも「不動産小口化投資」の魅力でした。

 

今回は、資金が少ない時でも資産運用できる「不動産小口化投資」について、「REIT」と比較しながら考えてみました。各々の投資商品の特徴をよく理解した上で、ご自身の投資戦略の一つに加えてみてはいかがでしょうか?

2018/03/12

投資のセミナー開催中

なぜ今、太陽光発電?理由があります!

コンパクトソーラー発電所説明会

詳細・お申し込み

家賃収入に“売電収入”をプラス!

戸建賃貸経営説明会

詳細・お申し込み