土地活用で大事なことは「何を建てるか?」よりも「なぜ土地活用するのか?」を考えること
2017/07/21
- 土地活用を検討する前に考えるべきこと
こんにちは。株式会社フィット「投資の窓口」編集部です。
所有している土地を活用したいと考えた時に、「そもそも、何のために土地活用をするのか?」という目的を明確にしてから行動に移している方は、意外と少ないのではないでしょうか?
「何も使っていない遊休地だけど、毎年固定資産税を払っているので勿体ない」
「将来、子供達に相続したいけど、相続税の負担が心配」
「近所のAさんは、土地活用としてマンションを建てたけど、空室もあるみたいだし、もっといい土地活用の方法はないかしら?」
このように、すでに所有している土地があって、それを「どのように活用したら良いのか?」という視点から、土地活用を考え始める人が多いように思います。
もちろん、何を建てるか、どのように使うか、という土地活用の手段も大切ですが、それよりも大事なことは「何のために土地活用をするのか?」ということ。
なぜなら、目的が明確にならないと、本当に有効な活用方法(手段)が見つからないからです。
- 土地活用の目的は何ですか?
そもそも、なぜ土地活用をするのでしょうか?
なぜ、その土地を利用して、収益を上げようとするのでしょうか?
もっと言うと、なぜ相続対策や税金対策する必要があるのでしょうか?
土地活用を実行に移す前に、これらについて、深く考えておく必要があるのです。
なぜなら、その理由は千差万別。
家庭ごとに理由が違い、それによって最適な手段も変わってきます。
先祖様からの土地を守る(名前を途絶えさせない)のが目的の方もいらっしゃるでしょう。
土地を利用して、できるだけ収益を上げたい人もいらっしゃるでしょう。
そして、事業などの収益の節税対策と考える方もいらっしゃいます。
これら様々な目的の優先順位を決めることが、実はとても大切なのです。
例えば、名義は自分の名前になっていても、家族親戚の同意が必要な場合もあるでしょう。
いずれ相続することになる子供たちの意向も聞かないといけないかもしれません。
重要なのは、まず「目的は何なのか?」に対する自分の答えを用意することです。
- 土地の活用は、売る、貸す、建てる、の3つの軸で考える
土地活用の目的を明確にした上で、それでは「どうすれば良いか」について考えてみましょう。
1. 土地を所有することにこだわらず、すぐに現金化したい場合
所有にこだわりがないのであれば、「売る」のが一番の策かも知れません。
ただ、立地によっては、希望とは程遠い金額でしか売れない場合もありますので、注意が必要です。
2. 先祖代々の土地をできるだけそのままの状態にしておきたい場合
このような目的であれば、「売る」という選択肢は、まず除外されるでしょう。
一番良いのは、そのままの状態で「貸す」ことになりますね。
しかし、立地場所や状態によっては、貸すには利用価値が低い場合もあります。
その場合は、多少の工事は必要となりますが、太陽光発電所・駐車場・コンテナBOX・バイクBOX・広告看板を設置・貸し菜園などの選択肢も考えられます。
3. 土地を活用して、できるだけ収益を得たい場合
一般に「土地活用」と言う場合には、これが目的でしょう。
そして、土地を活用して収益を得る方法としては、マンションを建てて賃貸に出すことをイメージする方が多いのではないでしょうか。
土地活用として、賃貸住宅を建てる理由は大きく分けて二つあります。
- 賃貸住宅であれば、土地・建物の相続評価が低くなるので、相続対策が期待できる。
- 賃貸住宅経営は、比較的安定した運用が期待できる。
では、安易にマンションを建てればよいかというと、そうではありません。
新たに「建てる」という選択をする場合は、周到な調査や綿密な事業計画、実際に事業を行う時の戦略が必要となります。
また、立地条件もありますが、賃貸事業を経営する力というソフトの部分が、収益を大きく左右するという現実もあります。
単純にマンションを建てるのではなく、例えば、次のような案も考慮に入れて柔軟に考える必要があるでしょう。
- 土地(の一部)を売って、立地の良い場所の中古賃貸物件を、土地を売った現金で購入する。
- 土地はそのまま駐車場などで貸しておき、その土地を担保に都心の中古賃貸物件をローンで購入する。
- 土地に比較的安価な戸建賃貸を建て、余剰担保を利用して中古賃貸物件を都心で買う。
- 土地を半分売って、残り半分の所に、新築アパートや戸建賃貸などを、土地を売って得た現金で建築する。
土地を売って、中古賃貸物件を現金で購入した場合、資産の評価額が落ちますので、相続対策として、資産圧縮効果が期待できます。
例えば、買い換えた中古住宅物件が、1億円だとするとその相続評価は約半分の5000万円程度になるので、相続対策となり得るのです。
また、10年以上その土地である一定基準以上の事業を行なっていることなどが条件となりますが、資産買い替えの際に「事業用資産の買換え特例」を使うことができれば、税務的にはさらに有利となります。
土地を有効的に活用するのであれば、賃貸需要の見込みが少ない今ある土地に、マンションを建てるのではなく、その土地を担保に中古物件を購入したり、物件購入の頭金代わりとして、更地の土地や物件を建てた上で担保にするなどの工夫が必要です。
自分の土地に、比較的単価の安い戸建賃貸などを建て、あまった担保を利用して都心に収益物件を買うなどのこともできるでしょう。
また土地を高く売るために、売却予定の土地に二世帯型の戸建賃貸を建築し、収入付きの一戸建て物件として売りに出すという方法もあります。
建築資金などの費用の負担が必要にはなりますが、二世帯型の戸建賃貸なら、売却できる可能性は高いでしょう。通常の戸建を買う場合と比べて賃料が見込めるので、物件のローンの負担が非常に安くなります。メリットを購入者に伝えられれば、通常の戸建相場より高く売却できる場合もあるでしょう。
さらに言うと、それがソーラーパネル設置型の二世帯用戸建賃貸であれば、売電収入も見込めるので、さらなる価値向上もできるでしょう。
このように、土地を活用して、収益を最大化したいと考えるのであれば、様々な経営視点から考える必要があるのです。
- 土地ありき、建物ありき、の土地活用は難しい
このように、土地活用の方法は様々にあります。
どの手法をどのように採用するのが最善か?
これは、ケースバイケースとしか言いようがありません。
様々な検討してみたけれど、結局しばらくは何もせずにそのままの状態で置いておくのが最善だったという場合だってあるかもしれません。
土地の値段が右肩上がりに上がっていく時代ではなくなった今、「土地ありき」、「建物ありき」の土地活用は難しくなっています。
ご自身の土地活用の目的を明確にした上で、冷静かつ柔軟な発想で、総合的に判断していきましょう。
文/株式会社フィット「投資の窓口」編集部
2017/07/21